思いつき植物:曼殊沙華
彼岸花の季節になりました。
学名は リコリス (Lycoris radeata)
リコリスというギリシャ神話の海の精の一人からとられ、
咲く姿が放射状(radiata)に開くということからつけられたそうです。
別名に「 彼岸花 」は、秋の彼岸の時期(秋分+前後3日なので、今年でいえば9/19-9/25)に咲くとか、球根に毒が含まれているから、彼岸(死)に行くとか。
タイトルの「 曼殊沙華 」は、法華経で天上の花という意味があったり。
実にいろんな役を背負ってきた、美しい花です。
そして、勘違いされるのがマメ科の 甘草。こちらは、ヨーロッパで黒い不思議な味がするキャンディ「リコリス」です。こちらは学名が(Glycyrrhiza glabra) 全然似ても似つかない別物 なんですね~。
私はどうにもヒガンバナ亜科の植物が見た目もストーリーも無意識に好きです。
スイセンとかスノードロップという伝説のような、語り継がれることの多い高貴さだったり、儚くもやさしい物語が幼いころから素敵だなと思っていました。
ちなみにリコリスは生薬名: 石蒜 (せきさん)ともいって、鱗茎をすりおろして足裏に貼ったり、肺炎や乳腺炎、リウマチにも貼るという民事療法があったりします。こちらは試したことがないので、増して毒ですから扱いが難しいですね。
一部ガランタミンという成分が含有されているので、そこに注目されました。アルツハイマー治療薬レミニールの成分なのか!と驚いたことがありました。昔じゃ考えられないような高度な精製ができるようになった恩恵なのだと思います、すごいね。
毒をどう扱うか人間を試すような高度な配慮が必要な花なんだな。掘れば掘るほど奥が深い。時代とともに新しい側面が追加されていく植物なんだなと思います。
一時期このブログ投稿連動のTwitter画像に、うちで咲いている黄色の曼殊沙華(ショウキラン/ショウキズイセン)は花びらが少し波打っていて一筋縄ではいかない美しさが好きです。
そして、咲く前までほんとに静かに球根だけで眠っていて、ある日突然にょきにょきつぼみと茎が出現。
いつの間にかパッと咲く。
咲き終わると、忘れたように葉っぱがボーボー生えるという面白さがある子ですね。
初めて咲いたときは、いやいや、葉っぱ出てくるのね!?とびっくりした記憶があります。
植物は本当に面白くて、学びが多い。育ち方も、立ち姿も、薬効も、物語も。
そんなところが、中医学や生薬、食藥を学ぶ面白さでもあるなと趣味が続いている理由です。
海辺で咲いているこの花を見たときに、実に面白くこの世の風景とは思えないなぁ、と今日のブログを書くきっかけをもらいました。
植物は偉大だわ。