ひと

全ての職場で同じことがお起きてると思うのは間違い

その職場に3年以上いると、ある程度スタッフ関係も患者関係もわかってきます。
こういうテンポの人だな、

この流れで来るなら次はどうしようという阿吽の呼吸のようなルールが出てきます。

 

よく若い子に教える時、気をつけて教えることがあります。それは、2つの見極めがあり、そのスキルを学んでいく必要性があることです。それはなにか?

 

その現場独自のルールか?社会一般での共通ルールか?

 

何を当たり前なと思うかもしれませんが、それは大きな違いです。その差を知っていることがどれくらい違うかというと、引っ越ししてきた小学生が「算数」ってどこでも同じ順番で進むだろう。自分は得意だから大丈夫!と鷹をくくっていた。

新しい学校に登校してみたら、すでに分数が終わり、いきなり見たことのない月日のような表示だけではなく、小数点の話を展開されている 浦島太郎にでもなったかのような度肝を抜かれることになります。

 

では、具体的に採血の血管選び方を例に取ってみましょう。

教科書では腕で採血をする時に狙う代表的な血管が3本があります。

前腕の肘正中皮静脈、尺骨皮静脈、橈骨皮静脈。

 

そして、現場に行けば、現場独自のルールがある場所もあります。

例えば、健診のとある現場では、尺骨皮静脈では行ってはいけない。

 

教科書では、3択代表で記されていました。なのになぜでしょう?

尺骨皮静脈の深部には正中神経や上腕動脈が走行しているのは前提で、他の2つ血管のところにも他の神経は走っているので注意は必要です。きちんと把握できていれば、患者さんの声を聞きながら行うことは可能なはずです。

 

この「患者さんの声」というのが、

その現場では大きく響いたゆえに禁止ルールになっていたのです。

 

みなさんの腕を見ると気付くように、肘の体寄りの内側にはあまり筋肉はなく、薄く見えます。

体内に漏れた血は吸収されていずれ見えなくなります。

しかし、止血としての押さえが甘かったりすると、ここは吸収してくれる筋肉などがなく、漏れた血の吸収が遅く見えて、すごい内出血のように見えることがあります。

実は、どこの血管でも、止血の押さえが甘いと同じくらい漏れてるかもしれない。けれど、運んでいくのが早いからすぐ吸収したかのようになっているだけなんです。

よって、どこの血管で同じように漏れていても見えているか見えていないかの差で、尺骨皮静脈でやるとクレームになりやすいのです。

きちんと血管から採血出来ていても、

  • 各個人で血管の固まる速度 (凝固) が違う
  • そもそも止血の押さえが甘い (ゆるく押さえてる、止血の時に確認しようとして見るために話したり、スマホいじって動いたり)

他の原因があっても、あの採血する人は下手だ!とクレームを言われてしまうんですね。

 

私は健診だと100〜150人/回✖️50〜60日/年にやっていましたから、少なくとも5,000〜7,500人/年は採血をしていました。少なくとも、止血しているときにさっき上げたような行為をする前に、

「内出血しやすいところなのでしっかり親指で押さえて肘を曲げておいてください。」

「スマホいじったり、5分経つまえに止まってるかチェックしたりするとそれも内出血の元ですよ。」

など注意喚起しておけば、クレームをもらったことはないです。

そして、100〜150人で1人外したら私的に調子が悪い方でしたから、年に十数人も外すさないスキル。そうそうクレームをいただくほどの行為は起きにくいかなと周りも予測できます。

よって、きちんとフォローしていれば、現場の声も聞いてokになることがあることもあります。

 

そういうフォローをせず、スキルも磨かなければ、やはり石橋を叩いて渡るようその現場独自のルールが絶対になるでしょう。
誰だってクレームつけるのは嫌だし、受けるのも対処するのも嫌ですから、どんなに困難でもそこはやりませんでした!で、済ませたくなってしまうのかもしれません。

 

よくわからない風習のような腕をパンパン叩いて血管を出す行為が語り継がれたりするのは、エビデンスないのでもうやめたらいいのにと思います。

血管を副交感神経優位にして拡げるために温めるとか、心臓より下に下げることによって血を下に下げ見やすくするとか、説明することで納得が得られ、協力をしてもらえるようなことは有意義ですね。

何事も、教科書が正しいわけでも、現場が正しいわけでもないです。

 

  • 患者さんがいて初めて検査となるので、その人の血管はどう走っているんだろうか?
  • この現場は、どこのリスクを回避する為の独自ルールを設けているんだろうか?
  • 自分はそれに対応できる知識は十分だろうか?
  • 患者さんへの注意喚起や指導を想定してリスクは回避できるのだろうか?
  • それに対応できるスキルは持ち合わせているのだろうか?

こういったことを、きちんと自覚して従うべきだろうか、処理すべきだろうか、誰でもトライしていいものだろうか、法的に問題ないことなのだろうかと段階を経て、経験を増やしていくようにした方がいいよと伝えてます。

 

 

言うのも丸呑みするのも簡単なんですけど、自分が誰かに実行することにはある程度の責任が発生します。過剰でも過小でも間違い。トントンくらいになる俯瞰の目線は大事です。

だから、ここではこういうやり方(言い方)をします。他の職場では、こういうやり方(言い方)をしません。そこの穴埋めは自分で勉強しておいで、答えは答えられる範囲答えよう。
またもし私が知らないことがあれば、わたしにも提案して、そして教えてねと付け加えながら教えます。

それは仲良くなろうと、なかろうと仕事であるから、成長した時にお互いフォローできる関係性を作っていく。その後その職場を離れてもその子が通用する人間であれば、いずれ回り回って、医療全体の底上げができれば自分の仕事が楽になります。

だから、ここのルールだけじゃない。周りは違うこともある。判断する知識の得方とどう言う形になっても応えられるスキルを磨くことで、対応していけることを知ってもらうのが大事だと思っています。

あなたの職場のルールも、ぜひ見直してみてください。