問診はする前から始まっている
新しい病院に受診して、最初にやることは問診票に記入をすることかと思います。
自分が困っていること、違和感を覚えていること、
なにか目的がないとそもそも病院に行こうとは思わないと思いがちですが、一つ抜けていることがありますがわかりますか?
行けと言われたパターンです。
行った人は会社や学校などの所属する場所かもしれないし、家族や友人かもしれません。勧められるケースもあれば、強制されているケースもあります。
紹介状を持っていれば、より精密に検査する目的や落ち着いてきたから通院するのに近医に送るかもしれないと内容が書いてあるのでわかりやすいです。
では、問診票にその全てが書いてあるかというと、ほとんどの場合は書いていません。最悪の場合、質問項目にチェックすらついていないこともあります。もはや、なにしにきたんだろうと途方に暮れてしまいます。
問診表に内容が書いてあろうと、書いてなかろうと、ご本人にお話を聞きにいくのは変わりないのですが、患者さんの名前を呼んだ時からが問診の始まりです。
移動も?と思われるとおもいますが、参考にできるところは実は多いのです。
ケースをみてみましょう。
問診をしようと名前を呼んだ時に Answer のようなことになると頭をよぎります。本人が困っているというよりは、連れてこられた雰囲気が醸し出されていました。
問診の場になると、本人の意見のように同席者であるはずのお母さんが話し始め、ご本人はお母さんの様子を伺うように視線を移動させた。そして、彼はお母さんの意見を尊重した。
もちろん困ってはいるでしょうが、表面だけで検査をしても解決に至らないことがあります。
本人の気持ちの整理がつけれる可能性があるなら、
調整を試みるほうが早いことがあります。
息子さんご本人にお話を聞くことを挟んだほうがいいですね。その場合、息子さんはお母さんに気を遣っているのは明白なので「お母さんには話ししないので、状況をお話してもらえますか?」と前提を置くほうが無難です。
その結果、聞いてくれる大人をみつけたと彼は話し始めてくれました。
受験期で周囲の同級生はピリピリして、お母さんも勉強しろとせっついてくる。
気持ちの逃げ場がなくて嫌で授業を寝ている。
そもそも勉強がしたくないわけでも、勉強に疲れているわけでも、眠いわけでもなかったのです。
ところが、先生にあの子は寝てばかりいるから以前と違う、病気で調子が悪いのではないかとお母さんに連絡が行きました。検査をしなければと心配の感情を押し付けられて、話を聞いてもらえない。
話すことを諦め、病院に付いてきた。
本人の願いとしては、やり場のない環境は言ってもことを荒立てるので望まない。
しかし、病気だと言われている状況は勘に触る。
検査をして、なにもないんだと母と学校に諦めてもらって、ある程度の距離感がほしいという主訴でした。
問診表をみていただけの時とは違って、主訴がずいぶんと変わってきました。
なんかしらの検査をして、原因はなんだと躍起になるのは終着点ではなかった。むしろ、
患者自身の力だけでは、周りの環境をコントロールできなくなった。
病院という専門機関と大人の力をかりて、自分の環境を整えようとしていた。
どちらかというと、大人顔負けの成熟度です。主張の強い大人が近くにいると、子どもは大抵どちらかに分かれます。ものすごく未熟か、ものすごく大人びているかが多くみられます。
後者であるならば、大人の成熟度はあれど、年齢は子どもですから、世間とのズレや摩擦に板挟みになり、気を病んでしまうことのが多い気がします。
まさに、彼のようなことですね。
問診をすることは、今後の治療方針にも関わります。問診の前の行動が物語っていることは、実に多いです。
ぜひ面接は待ち時間からともいいますから、活用してみてください。