発想基準

人をかんがえる時につかう:エリクソンの8つの発達段階②

前回バーッと前提だけ列挙しました。抜粋です。

 

 

人間の一生を8つの段階に区分する。

 

ここでは、そんなに詳しい説明をしませんが、ザーッとみてもらうとわかる通り、対になっているんです。

もうこれは、必要な時にどれだ?って見直していけばいいので、表を見るだけでもいいです。ああ、この時期こんなこと大事なんだ、案外。こんな精神に影響するんだな、へぇって思えたらもう充分です。

次のブログでこんな感じで考えると使えますよと例をあげてみましょう。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。絵だけ見て戻ってきても大丈夫です)

 

今回、ピーター・パン・シンドロームを例にとって考え方をお伝えしましょう。
ピーター・パン・シンドロームとは1970年代後半アメリカで誕生した言葉になります。

大人の年齢にも関わらず、精神的に大人になれず仲間に入ることができない男性を指します。(昨今は女性も)

パーソナリティ障害でもあり、誰もが持っている問題の一種で、心理学や精神医学の正式な用語ではないのです。現代では、大人になることを拒み、現実逃避する傾向、社会適応ができない成人を指します。

 

 例えばこんな傾向です。

  • 自尊心、自己愛は強いのに、自信がなく寂しがり屋
  • 見栄を張り自分を必要以上によく見せようとする
  • 無関心にも関わらず責任転嫁をする
  • 親密な関係を築き難い
  • プライドが高く、内面はとてももろく傷つきやすい
  • 自分の思うとおりにならないとすぐに怒る

簡単にいうと、愛する人から少し冷たくされたり、友人にちょっと避けられたりしたと思ったら、怒りを爆発、大騒ぎする。

 

 

ここでなにがエリクソンの発達段階に関わるかというと、思春期・青年期に大人になるということが出来ないというところです。

各段階における発達課題には前向きな発達だけではなく退行的,病理的方向も想定した心理社会的な危機があると考えられている。そこを念頭に、思春期・青年期に着目しましょう。

 

同一性(アイデンティティ) VS 同一性の拡散

アイデンティティの感覚の定義:

「内的な斉一性(sameness)と連続性(continuity)を維持しようとする個人の能力と,
他者に対する自己の意味の斉一性,連続性とが一致したときに生じる自信」

 

※1 斉一性:
自己をまとまりのある不変な同一の存在として認識していることである。
※2 連続性:
過去から未来にかけての時間的な流れのなかでの自己の安定性を意味している。
※3 わたしがわたしであるという一致した自信

 

アイデンティティの感覚は、内的かつ他者の存在によって支えられているものであることが強調されています。つまり、ここが満たされる自信が、青年に生きがい感や充実感をもたらすわけです。

 

一方で、

 

 VS アイデンティティが拡散したり、混乱している状態 の特徴

  • 選択の回避(外的な孤立と内的な空虚感)
  • 親密さの問題
  • 時間的展望の拡散
  • 勤勉さの拡散
  • 否定的アイデンティティの選択

 

 

ピーター・パン・シンドロームに戻りましょう。大人になってからピーター・パン・シンドロームに陥るのは、両親の不仲や離婚が第一原因と言われています。想像してください。

 

いつかは大人になることを夢見ていました。

でも、好きな両親は仲違いをしたり、離れたり、時にはどっちに付くんだと問われたりもします。

 

幼い頃から大人の選択を迫られることもあります。

いきなり背伸びをしなければいけないことも、自分は愛されていると思い込まないといけないこともあります。
同時に子供でいたいかったはずです。自分で愛さずとも、愛される安全基地であるはずの両親が見せないように仮面を被っていたなら、自分も被らざるをえなかったでしょう。

 

その結果、自分は自分で守らなければいけなかった反動で、自分が安心して暮らせる環境をつくり、そこに居たいはずです。それが、仲の良い相手や愛する相手ならもう仮面を被っているなんて思いたくないから怒るのです、無意識に。

 

社外参加せず、就職もせず、結婚せず、子供も育てずにいる。

自分も同じことをするかもしれないし、されるかもしれないなら大人の行動はやらない。

 

つまり、大人社会への現実逃避の手段の一つなのです。その他、発達障害や強い劣等感が引き金なこともあります。

 

ある種の心の傷から「同一性(アイデンティティ)」という獲得ができなかった故に、「同一性(アイデンティティ)の拡散」というものを抱えてしまい、進んでいないですね。

 

次のブログで全体をまとめます。